全部おとぎ話であれ

きらいなものを1000文字で語る

めざまし時計

めざまし時計が嫌いだ。毎朝iPhoneのアラームをかけて眠りにつく。翌朝それが鳴りだすと私はいつも驚いてビクっと目を覚ます。

 

 

1日の始まりを喜怒哀楽でなく「驚」で迎える日常を想像してほしい。控えめな地獄だ。

 

 

私は割と最近まで「人間がめざまし時計で起きる時はビクッと驚いて起きるもの」だと思い込んでいた。友人と話してみんなはそうじゃないと聞いて驚いた。

 

 

普通はどうやら遠くの方からアラーム音が聞こえてきて(というか徐々に朝だと認知して)、まどろみの中でだんだんと目を覚ましていくものらしい。音楽記号で言うとクレッシェンドのイメージ。

 

 

対する私はアラーム音に驚いてビクッと目が覚めて、うおおおおうるせええええええと唸りながら背伸びをするのがデフォだった。

 

 

だからめざまし時計は脅威。睡眠という平穏を突然ぶったぎる化け物。しょっぱなから全員のフラッシュモブ。親しくないのに乾杯してくる飲みサーの先輩。

 

 

私はめざまし時計に驚くたび「朝」をぶん殴りたくなる。驚かされるというのはそれほどの重罪なのだ。なんで毎日毎日お前に驚かされないけんのな。たまにはお前も驚け。やられたらやりかえす。半返しだ!!!!(内祝い)(大進)

 

 

できることならわたしも夢の現実の狭間を漂ってみたい。緞帳がゆっくり上がるように「は〜〜いみくりやさんそろそろ現実ですよ〜〜〜」と看護師さんに肩を優しく揺さぶられたい。

 

 

だから死ぬまでに普通の人のように「だんだんと目が覚める」というスキルを取得したいと思っている。

 

 

ところでめざましジャンケンも嫌いだ。グー出すとだいたい負ける。あとめざまし占いも嫌い。だいたいかに座は最下位。もうめざましと名のつくものは一切信用してない。イケメンのディーラーくらい信用してない。