全部おとぎ話であれ

きらいなものを1000文字で語る

果物が嫌いだ。とりわけ苺が嫌いだ。

 

 

何かが密集するものが視覚的に無理である。そういうのをなんとかと呼ぶとか聞いた。はて何て呼ぶんだったかなと思い「ぶつぶつ 生理的に無理」とググったら「トライポフォビア」と出てきた。全然聞き覚えなかった。

 

 

苺の表面は種でぶつぶつしている。等間隔で。すっごい気持ち悪い。幼い頃は種を喉に入れちゃいけないと思って一つずつ取り除いたら今度はぶつぶつ穴が空いたみたいに見えて気持ち悪さが増した。虫かよ。凹凸は凹も凸も無理だった。

 

 

そこで考えた。すごい嫌いなものをすごい好きなものと掛け合わせたらちょうど真ん中になるかもしれない。

 

 

そう思ってまずはウニと苺を脳内で横に並べてみた。無理だった。クラスのイケてる男子が偏差値のカチ低い他校の女子と付き合ってる気分だ。なんか苺って頭すっからかんのギャルみがある。正義感が強くない方のギャル。

 

 

次に奥田民生と苺を脳内で横に並べてみた。ギリいける。民生の圧倒的才能、気怠さ、ブレなさが苺の価値のなさにキワキワで勝る。ただ苺のイラストならそれでいけるが実写だと無理だった。実写の苺の気持ち悪さは民生へのリスペクトをもかき消す。

 

 

もうこうなったら切り札を出すしかない。ゴーカートと苺、これでどうだ!私はゴーカートがめっちゃ好きだ。交通公園のキングオブ安全なゴーカートが好きだ。MAXスピード20kmくらいで走り屋のツラをかましたい。サングラスをかけてくわえ煙草でイキり散らかして右手には苺……いや苺!無理!きっしょ!

 

 

脳内で苺をぶん投げた。苺は道路脇の植え込みの中にバシュッと消えた。

 

 

ちなみに同じ理由で向日葵も嫌いだ。「向日葵みたいな人」?悪意に満ちとるだろ。