全部おとぎ話であれ

きらいなものを1000文字で語る

コース料理

コース料理が嫌いだ。最初らへんが美味くない。いきなり肉か魚が出てほしい。

 

 

飲み物がシャンパンかワインなのも嫌いだ。どっちも好きじゃない。肉には赤ワインって誰が決めたん?肉には水だろ。氷が大量に入ったジョッキの水だろ。

 

 

コース料理と食べるのは結婚式くらいしかない。最初におしゃれな前菜がちょこんと盛られて出てくる。色とりどりの野菜が盛られて、でも全部味がせん。何の味もせん。弁当箱のバラン食べてる気分になる。よく分からんから家からマヨネーズ持ってきてかけたい。あの結婚式用のちっちゃいポシェットみたいな奴にマヨネーズだけ入れて来たい。

 

 

次によう分からんカルパッチョみたいなんが来る。うまい。生の魚はもれなく好きだ。欲を言うならオリーブオイルみたいなんはどういう感情で食べたらいいんか謎。醤油の方が百パー美味い。引き出物に品のある醤油入れといてほしい。

 

 

赤い木の実を散らすのもやめてほしい。食べものか飾りかが明確じゃない。食べた後で「えwwwあれも食べてるやんwww」みたいなイジられ方絶対にしたくないからハラハラする。料理を出す時に「こちらの赤い木の実のようなつぶつぶは飾りのように見えますが、しょうみ食べられます」とか教えといてほしい。

 

 

ああやっとメインが食べれるんかと思ったら謎のスープとかシャーベットが出るのも苛々する。こちとら草みたいな野菜と味のせんシャンパンしか食べとらんのんぞ???はよ肉を出せという気持ちになる。新郎の上司のスピーチなんか入ってこん。営業成績が部署1位でって、じゃけどしたんな。小さなスケールの世界で生きるな。勤務態度は真面目でってそんなツーブロックの髪ガチ固めイケイケ野郎が勤勉なわけなかろ。

 

 

ああやっと肉が出てきた!!と思ったらばりちっちゃい。二口で食べきれる。だいたいめっちゃ美味い。ソースも美味くて皿とか舐めたくなる。でもそれはできないのでしゃーなしパンのおかわりでおなかを満たす。新婦の友人のスピーチに具体的なエピソードが無い時はますます腹が減ってしまう。つまらんスピーチをすな。放送作家をつけろ。「あとパンのおかわりください」て言うの恥ずいから箸袋にメモして渡す一蘭方式にしてくれんか。

 

 

と思ったら出ましたデザートビュッフェ!くーーーー!実はデザートビュッフェが全然好きじゃない。私は果物が食べられない。仕方なくチーズケーキを爆食いするけどほんとはさっきの肉をおかわりしたい。

 

 

それらの想いを微塵にも表面に出さずに私はにこにこと拍手をする。結婚式は素敵だ。愛しかないから。ありがとう新郎新婦、ありがとう世界。ありがとう命。ありがとう平和。

 

 

帰宅してドレスを脱ぎベッドに寝転んで、ほほえましい写真の数々を眺める。いい一日だったな。コース料理の写真も眺める。夢に出てくれよ。夢の中でもう一度食べないと割に合わんど。